トリオ R-300

R-300

 

TRIO(現:KENWOOD)は1970年代にキット製品を「Kencraft」のブランド名で販売してました。

TS-311をベースにした50MHz SSB/CW/AMトランシーバー「QS-500」や、オーディオアンプ、チューナー、テスター、パワー計、周波数カウンターなどが製品としてあり、QR-666は1973年頃発売されていた製品で、後にTRIOブランドの受信機R-300のベースになっています。

 

日本でHEATHKITのイメージを定着させようとしたと思われますが、販売数量が伸びなかった為か、後継モデルが発売されることも無く消滅してしまいました。

私も当時「QS-500」は購入して組み立てました。

 

QR-666はキットですが、姉妹機の完成品としてR-300がトリオブランドで3年後に発売されました。

回路も概ね同じで、プリント基板の一部も品番が一緒です。

 

トリオのゼネラルカバレッジ受信機R-300は、アマチュアバンドを含むHF帯・中波放送帯(BC)はもちろん、170KHzの長波と中波放送が受信可能です。

真空管時代の9R-59D・9R-59DSの後継機種と思われますがこれらは下限が535KHzでした。

キットで先に発売されたQR-666(ケンクラフトブランド)の製品版という位置づけで、類似点も多数あります。

オール半導体のリグで、30MHzまでを6バンドに分けてカバーしております。

AC100VあるいはDC13.8Vでも動作しますが、下面に単1電池8本のボックスがあり、電池動作も可能です。

 

下面中央に、アンテナ・高周波・発振コイルが並んでいるコイルパックユニットがあります。

真横にある基板はRFユニットで、回路・パーツのレイアウトはほぼQR-666と同じです。

 

バンド切替スイッチにも、糸掛けの機構があります。

メインダイヤル横のバンド表示部で、上下に緑色のウインドウを表示しますが、表示部はフロントパネル裏にあり、糸を外さないと本体からフロントパネルを取り外せません。

 

上面の背面にIFユニットがあり、455KHzから検波までの回路が含まれます。

すぐ横にあるのは500KHzマーカーユニットで、標準装備されています。

電源トランス横はAF/PSユニットで、低周波増幅及び電源回路があります。

いずれもプラグインモジュールになっており、かつスペースに余裕があるので、基板を抜き差しして回路を修正・点検するのに大変便利です。

 

A-Eバンドはシングルスーパー・Fバンドはダブルスーパーですが、高周波増幅・第一ミキサは共通です。

第一ミキサは出力同調回路を分けてA-Eバンドは455KHzで、

Fバンドは4.034MHzで出力を取り出します。

さらにFバンドは第二ミキサで第二局発3.579MHzをミックスし,455KHzを得ますが、A-Eバンドは第二局発を止めてバッファアンプで動作します。

 

 

黒いデスク型の外観は大きく重量感があり、チュ-ニングツマミはフライ、ホイ-ルがあるので、ダイアルの回転はスムースです。

バンド、スプレットは放送バンドとハムバンドが分割表示されて居ります。

 

受信周波数は175kHzから始まり410kHz~525kHz間の海岸局、海上移動局は抜けてますが、

中短波、短波はバンド切り替えでフルカバ-です。

BFOは10pFのミゼットバリコンですが、バンド、スプレットと微妙な操作が必要ですが支障はありません。

その他RF-GAN,今では珍しいANT-TRIMも付いて居り、音質、音量はAMの帯域幅が広いせいでしょうか

小型機と違い内蔵スピ-カ-の口径も大きく堅い好みの音質で迫力があります。